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会長挨拶


会 長 近 角 真 一

実践的委員会活動で技術力を磨こう


このたび中村 勉会長の後任として東京建築士会の会長の職に就くことになりました。この2年間会長補佐に任ぜられ、会員の方々が会に望むものを様々に学ばせて戴きました。

大げさな表現となるかもしれませんが、今、建築士は過去に経験のない2つの大きな危機に直面していると思います。その危機は職能そのものの危機であり、それを乗り越えるために今こそ、士会会員は団結して自らの職能の価値を社会へアピールしていく必要があります。その危機は、建築士法で業務独占が認められている「設計」と「工事監理」の2つの業務そのものではなく、その前と後に立ちはだかっているのです。

「設計」の前にある危機とは、小規模事務所に属する建築士が、設計者選定の前審査で弾かれてしまうケースのことです。公共工事で発注者支援業務が力を持つようになってから、建築士個人の能力や技術力よりも所属する組織の規模や実績を基準に設計者の選別が進んでいます。小規模事務所がプロポ提出以前に門前払いされるのは、大半の会員が小規模事務所に属する当会として看過しがたいものがあります。小規模事務所や若い人材の登用が建築文化の新しい道を築いてきた長い歴史を考えれば、ここでの後戻りは取り返しがつかないことになります。

「工事監理」以降に潜む危機とは、完成したあと、ストックとなった建築物にまつわる危機です。従来建築士は新築工事に忙しく、改修工事や修繕工事には十分、力を注げてこなかった反省があります。建築関連法規も新築中心のままストックの時代に突入したため整備が不十分です。都市の中心部のストックが大規模に改修される度に違反建築が疑われる状況は、東京の街の安心安全に責任のある当会として座視できない事態と考えます。多くの工事に建築士が関わっていながら公正中立なジャッジが下せていないのは職能の危機そのものと言えます。

私は、以上2つの危機を乗り越えるには、士会が先頭になって建築士の能力、技術力の効能を広く社会に訴え、発注者に働きかけることが重要だと思います。建築士会には、設計業、施工業、メーカー、発注者、行政、アカデミーの建築士が勢ぞろいしているので、建築の性能・品質そしてコスト・工期を守る建築士の技術力をアピールする活動にふさわしい団体だと思います。

私は会長の就任にあたって、次のことを提案しました。「士会の委員会活動を大きく軌道修正し、今、委員の自由な発想で展開されている委員会を、士会のミッションを背負って行動する委員会へ転換を図る」です。そのミッションとは、建築の性能・品質そしてコスト・工期を守る会員の技術力を強化することです。

委員会活動の両輪の、一つは広く一般会員向けの講習会活動、そしてもう一つは国・都・区市町村の行政機関等から受託する調査研究と考えます。会員各位には是非とも士会の委員会活動の委員として名乗りを上げていただくと共に、まだ会員になっていらっしゃらない建築士の方々に当会へ参加し、大いに技術力を磨こうと勧誘いただくことを望みます。

平成29年6月
東京建築士会 会長 近角 真一