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【本 会】法規メルマガ4月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2018年04月13日

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ4月号」(4/13配信分)の法規コラムを掲載いたします。

建築基準法改正案について
内閣は平成30年3月6日付で「建築基準法の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。内容は最近の大規模火災をめぐる状況や防火関連の技術開発をめぐる状況等を踏まえ、建築物・市街地の安全性の確保、既存建築ストックの活用、木造建築物の整備の推進などの社会的要請等に対応して規制を見直したものとされています。直前の「今後の建築基準制度のあり方『既存建築ストックの有効活用、木造建築を巡る多様なニーズへの対応並びに建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保の総合的推進に向けて』」(第三次報告)に沿ったものと思われます。平成10年の性能規定化と民間建築確認審査制度、平成18年の構造計算偽装事件による建築確認制度の厳格化、平成26年の木造関連基準、構造計算適合性判定制度、EV容積率の合理化等の改正に続くものです。概ね8年ごとの大改正と比べると今回の改正は前回平成26年改正が即日施行、1年施行、2年施行であったことを考えると社会的な要請に応えられなかった部分の調整的改正とも感じます。今回の改正も3か月施行と1年施行に分かれています。

今回の改正法案は、大きく分けて四点で「安全性の確保」、「既存建築ストックの活用」(用途変更に伴う制限の合理化・大規模建築物等に係る制限の合理化)、「木造建築の推進」、「その他」となっています。先ず「安全性の確保」では糸魚川大規模火災や三芳町アスクル倉庫火災を受けて建築基準法第8条(維持保全)を改正し維持保全計画の作成義務化建築物の範囲(政令・特定行政庁指定)拡大と、第9条の4改正により維持保全に関し必要な指導助言の制度化、加えて、防火地域・準防火地域において延焼防止性能の高い建築物の建蔽率の10%緩和制度創設となっています。後段の建蔽率の10%緩和制度(法第53条(建蔽率)第3項)は、平成15年に東京都が導入した「新たな防火規制区域」のスタート時と似ていて、規制を強化する見返りとして建蔽率を緩和することにより木造密集地域や違法建築集積地域の改善に実効性があると考えられ歓迎します。加えて、緩和施策として第2条(用語の定義)第6号「延焼のおそれのある部分」が改正されています。

続いて「既存ストックの活用」では、法第27条(耐火建築物としなければならない特殊建築物)第1項改正で戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ階数3以下)を福祉施設等とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置(警報機の設置等)を講じることを前提に除き、第4項で劇場、映画館又は演芸場の用途に供するもので主階が一階にないものから、階数が3以下で延べ面積が200㎡未満のものを除いています。また、用途変更に伴って建築確認が必要となる規模を見直し(不要の規模上限を100㎡超から200㎡超に見直し)として、法第6条(建築物の建築等に関する申請及び確認)第1項第1号を改正しています。しかしながら1号建築物は特殊建築物かつ200㎡超となるため、用途変更だけではなく、新築や増改築ならびに大規模の修繕・大規模の模様替をする場合も適用され、特殊建築物かつ100㎡超200㎡以下は、改正後は4号建築物となり、法第6条の4(確認の特例)と施行令第10条第3項と第4項により一戸建て住宅とそれ以外について分けて確認適用条文を緩和されている対象建築物となります。老人グループホームなどのための緩和と思われますが、施行令第10条第4項の適用条文は吟味を要すると思われます。また、用途変更に関しては法第86条の8(既存の一の建築物について二以上の工事に分けて増築等を含む工事を行う場合の制限の緩和)と同様な段階的遡及適用を法第87条(用途の変更に対するこの法律の準用)にも法第87条の2(既存の一の建築物について二以上の工事に分けて用途の変更に伴う工事を行う場合の制限の緩和)として設けています。最後にオリンピック対策と思われる、新たに整備される仮設建築物と同様に既存建築物を一時的に特定の用途とする場合も制限を緩和する制度を、法第87条の3(建築物の用途を変更して一時的に他の用途の建築物として使用する場合の制限の緩和)として設けました。

次に「木造建築の推進」ですが、耐火構造等とすべき木造建築物の対象の見直し(高さ13m・軒高9m超→高さ16m超・階数4以上)を法第21条(大規模の建築物の主要構造部)第1項で改正しています。また、同項で木材のあらわし等の耐火構造以外の構造を可能とするような規定を国土交通大臣認定として設けています。また、法第24条(木造建築物等である特殊建築物の外壁等)の削除、加えて、防火地域・準防火地域内において高い延焼防止性能が求められる建築物についても、内部の壁・柱等において更なる木材利用が可能となるよう基準を設けるとしています。法第61条(防火地域内及び準防火地域の建築物)の国土交通大臣認定を変更すると考えられます。

最後に「その他」の中では、老人ホーム等の共用の廊下や階段について、共同住宅と同様に、容積率の算定基礎となる床面積から除外することを法第52条(容積率)第6項に追加改正しました。これは設計業界要望でもあったものです。また、興行場等の仮設建築物の存続期間(現行1年)の延長(法第85条)や用途制限等に係る特例許可手続の簡素化(法第48条第16項)、日影規制の合理化として建築審査会の同意許可を一定の範囲について除外(法第56条の2)、共同住宅の遮音界壁(法第30条)緩和と、新宿のたぬきの森事件(路地状敷地に長屋形式で大規模マンションを建設)対策なのか、法第43条(敷地等と道路との関係)に特定行政庁の条例附加制限を追加し良好な市街地形成を図るなど盛りだくさんです。法令の内容を新旧対照表でご覧ください。どちらにしても詳細は政令や告示によるものが多くこれからも目が離せません。

参考資料
>1.国土交通省 建築基準法改正HP
>2.国土交通省 社会資本整備審議会第三次答申HP

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