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【本 会】法規メルマガ1月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2018年01月18日

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ1月号」(1/18配信分)の法規コラムを掲載いたします。

今後の建築基準制度のあり方パブコメ
本年も建築物のストック有効活用が早々から話題となっています。国交省は昨年12月21日に『今後の建築基準制度のあり方「既存建築ストックの有効活用、木造建築を巡る多様なニーズへの対応並びに建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保の総合的推進に向けて」(第三次報告案)』に関する意見募集について、平成30年1月19日締め切りでパブリックコメントにかけました。パブコメ別紙の第三次報告案は、Ⅰとして第二次答申の内容の説明と今回報告の趣旨が、Ⅱとして既存建築ストックの有効活用に向けた建築行政のあり方、Ⅲとして木造建築を巡る多様なニーズに対応する建築行政のあり方、Ⅳとして建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保に向けた建築行政のあり方、Ⅴとしてその他引き続き検討すべき課題等となっています。

特にⅡの既存建築ストックの有効活用については、現状分析で老人ホームなどの共用部分の廊下・階段については、共同住宅の場合は不算入であるのに対し、老人ホーム等の場合は算入することなどを同様の特性を有する用途に対して規制上の取扱いが異なっていることが用途変更上の支障となっていることなどを挙げ、早急に講ずべき施策で「同様の特性を有する用途に対して規制上の取扱いの合理化」として排煙設備・内装制限・防火区画・避難時間算定等の防火・避難規定について整理を行うことや老人ホームの共用部容積不算入を盛込んでいます。

また、同施策では「既存建築ストックの有効活用を促進する規制等の合理化」として、用途変更等に伴う手続の小規模な建築物についての簡素化や、平成17年導入の増築時段階的遡及に似た用途変更時現行法限定遡及の段階的遡及制度の導入、大規模な既存建築物の部分的な用途変更に際して新たな用途に適用される規制への対応が円滑になされるような最低限の性能を確保した一層の合理化(共同住宅・長屋における界壁(遮音性能)・採光・階段等の一般構造や、排煙設備・内装制限・防火区画・避難時間算等の防火・避難規定に係る技術的基準の見直し)、旧法第38条認定を受けた建築物について増改築や用途変更などの既存建築ストック活用が円滑に行われるよう平成26年の改正法に基づく新第38条に基づく認定制度の活用を推進、ならびに検査済証のない建築物の増改築や用途変更を円滑に進めることができるような法適合状況の確認などが過度な負担なく行える環境の整備など5点が挙げられています。

Ⅳの建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保に向けた建築行政のあり方では、平成29年2月に発生した埼玉県三芳町倉庫火災や平成28年12月に発生した新潟県糸魚川市の火災や大規模長屋、中高層建築物の日影規制の特例許可を現状分析で挙げ、「建築物の安全確保のための適切な維持保全等を促進するための措置」や「市街地の安全確保に向けたストックの更新等を促進するための措置」を施策として挙げ、特に防火地域・準防火地域において耐火建築物・準耐火建築物及び内部の壁・柱に木材を用いても耐火建築物・準耐火建築物と同等の延焼防止性能を有する建築物に技術的基準を前提として建替え等により整備する場合、建蔽率を都市計画で定められた数値に10分の1を加えたものとするとしています。また、大規模な長屋等の建築物について、地域の実情に応じた条例により共同住宅と同様に接道規制を付加することを可能とするとしています。

Ⅴのその他引き続き検討すべき課題等では、建築物の質の確保・向上を担う官民の技術者の確保・育成や、生産性向上に向けた設計・監理を担う建築士の業務報酬基準、関連資格制度等のあり方、総合的な評価・表示・誘導体系の整備が遅れている非住宅建築物における質の向上を誘導する政策のあり方、構造関連の規制のあり方、密集市街地対策、接道規制・用途規制及び日影規制以外の特例許可手続きの合理化のあり方、用途規制上の既存不適格建築物の用途変更に対する規制のあり方(部分的な用途変更の取扱い等)など6点が挙げられています。

小生はこのコラムで、用途変更や改修工事設計について本体建築物の法規制内容を理解した者としての建築士による資格要件や、建設業法の監理技術者に一定規模以上の建築物に対して違法建築物排除のためにも一級建築士の資格要件を並列させるべきとの意見を述べて来ました。しかしながら、「検討すべき課題」という表現はやや後回しという印象です。大規模建築物の無資格者による用途変更工事は目に余る状況で、喫緊の課題と捉えなければなりません。建設業における工事現場での法規制チェックの形骸化による品質トラブル多発も同様な状況と思えます。建築士法改正や建設業法改正は難題かも知れませんが、建築物の安全性確保や市街地の環境や安全確保には避けては通れません。

皆さんも既存建築ストックの有効活用の設計検討時に、気になっている陳腐化した規定や改善すべき事項について、是非とも意見提出をされると良いと思います。東京建築士会はストック委員会で議論を重ねて来ましたが、本年も引き続き検討ならびに意見発信していきたいと考えておりますのでご支援のほどお願い申し上げます。

参考資料
>パブリックコメント

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