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【本 会】法規メルマガ12月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2017年12月15日

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ12月号」(12/15配信分)の法規コラムを掲載いたします。

既存住宅活用と住宅関係法令の改正動向
既存住宅活用はストック建築物の有効活用を考える場合に、住宅建築物のシェアが多いため重要なテーマとなります。しかしながら、外形的には「住宅」としてとらえられていても、実際の利用方法は宿泊であったりSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)としての事務所であったり、寄宿舎(老人グループホームや企業の寄宿舎など)など、専用住宅ばかりではありません。外形的な分類では戸建て、共同住宅、寄宿舎なのでしょうが、宿泊特化型ホテルもワンルームマンションと類似している外形のものも有ります。建築基準法は用途規制などでは実態に合わせて規制するというのが建前となりますが、外形が住宅である戸建てや共同住宅に法律による網をかけ規制することはかなり難しいと考えられます。このような中、平成25年6月に毎日新聞が問題としたことに端を発し、シェアハウスは用途としては寄宿舎とした国土交通省通知は波紋を呼びました。対応として東京都が東京都建築安全条例の窓先空地の緩和(戸建て・共同住宅とも緩和)を後追い改正し、国交省も防火区画関係の緩和を断続的に実施して、既に使用されているグループホームなどの適法化に尽力したこととなりました。

平成24年8月からの社会資本整備審議会建築分科会における「今後の建築基準制度のあり方について」については、平成25年2月に「住宅・建築物の耐震化促進方策のあり方について」が第一次答申され耐震改修促進法が改正され、平成26年2月の第二次答申に基づき平成26年建築基準法改正がなされました。本年10月より開催された建築基準制度部会は「今後の建築基準制度のあり方について」の平成29年度内第三次答申を目指して審議開始しています。審議事項は「参考」にある主な論点の通りで、既存ストック活用に関しては、既存ストックの利活用を促進する単体規定等の合理化(法第87条用途変更の準用)と集団規定等の合理化ならびに仮設建築物に関する制限の緩和(法第85条)があり、木造建築物の建築・活用を促進するための措置や、埼玉県三芳町のアスクル倉庫火災を踏まえた適切な維持保全等を促進するための措置、ならびに糸魚川市の大規模火災を踏まえた建替え等を促進するための措置となっています。

この中で注目すべきは、空き家関係の分析と用途変更(法第87条)の分析です。骨子は空き家のうち売却用を除いた賃貸用約430万戸の内耐震性能のある350万戸程度とその他約320万戸の内180万戸がストック利活用の対象であり、昨今のリフォーム・リニューアル工事の急増や用途変更申請の実績分析がなされています。空き家関係の有効活用については本年4月26日に公布10月25日施行の改正住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)や、本年6月16日に公布された民泊新法(住宅宿泊事業法で営業180日以内)も多大な影響が有ります。この住宅宿泊事業法は旅館業法の規制強化(罰金3万円から100万円)と相まって住宅に対する投資構造に変化をもたらすと考えられます。既に違法民泊として主に中国人に投資されてきた都心部のタワーマンションに陰りが出て、代わりの投資対象は都心部のSOHOを前提としたワンルームマンションに変わってきています。

都心部の行政区において空き家は保有課税(固定資産税・都市計画税)が高いことも有り、何らかの活用がされていてあまり問題になりませんが、周辺部においては昨今急増の傾向にあります。特にベビーブーム世代の親が死亡した場合、既に自宅を保有している子が複数いる子世代は空き家としてしまう傾向が有ります。建物は減価償却しているため課税標準が低く、土地は小規模宅地として約1/5に減免されているため取りあえず空き家としているケースです。建物を解体した途端に保有課税が年額20万円程度から年額100万円となるため壊すことができません。築40年から50年の建築物の問題となりますが有効活用可能な適法に近いものも有ります。また、賃貸アパートとしていたハウスメーカー系の建築物は耐震性能も有り改正住宅セーフティネット法に適合できるものも多いと考えられます。参考2.セーフティネット末尾のハンドブックなどは参考となります。周辺部の品川区や目黒区、新宿区、大田区や世田谷区、江東区、豊島区などは立地係数が高く、住宅確保要配慮者対応登録住宅が家賃低廉制限との関係で増えるかもしれません。リフォーム工事補助金も見逃せませんがこれからの動向を注視する必要があります。なお、住宅確保要配慮者には外国人世帯や留学生も含まれます。日本人労働人口の減少による外国人労働者の増加は、建設業、飲食業、コンビニなどに続いて介護労働を担うことが必要になり、避けられない現象です。

こうしたリフォームやリニューアルに建築士がかかわることによって、より安全で安心なまちづくりが進むことが望ましいと思われますが、現行の制度では用途変更の建築確認申請や設計、耐震改修の設計に建築士でなければ出来ないといった資格要件の定めは、建築士法第3条には記載が無いため工事業者でも可能な状態です。建築基準法ならびに関係法規を知らずに設計等を行うことは消費者保護の観点からも望ましくありません。特に非住宅の違法用途変更などは目に余る状態が放置されていますが、住宅系の改修が本格化する前に是非とも建築士法改正による資格要件の明確化が望まれます。国交省は資格要件について業務独占という表現を使いますが、建築士以外の者が出来る業務からその者を排除することが「独占」であり、消費者保護のため「資格要件」を定めることに「独占」という表現は好ましくありません。違法リフォームやリニューアルが増えてからでは間に合いませんので、行政処分可能な建築士の資格要件にリフォームやリニューアル業務を加えるべきではないでしょうか。加えて現在の住宅政策は各課や各省にまたがって進んでいますので、総合的な政策効果を得るため、税制や補助金を含む各省庁の政策に、まちづくりとしての方針に沿った調整が重要となると思います。皆さんのご意見は如何でしょうか。

参考資料
>1.第14回建築基準制度部会HP
>2.住宅セーフティネット制度について①
>2.住宅セーフティネット制度について②
>3.市町村立地係数(上限家賃の算出方法:67,500円×50㎡/65㎡×市町村立地係数)

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