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【本 会】法規メルマガ10月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2017年10月06日

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ10月号」(10/6配信分)の法規コラムを掲載いたします。

採光規定の行方
東京都の小池知事は平成29年9月9日の国家戦略特区諮問会議で4月20日に続いて、小規模保育所(2歳児まで)の年齢制限撤廃等に併せて、建築基準法の採光基準等の緩和を政府に要望しました。現行法で保育所の保育室は床面積の1/5以上の大きさの採光窓が必要なため、都市部で保育所への転用が難しい建物が多いためとしています。規制緩和案は隣り合う複数の部屋を一室とみなすことを認めることで、全体として必要な採光窓面積が確保できれば、窓のない部屋も保育室として使えるようにするという緩和です。

日経新聞の記事によると政府は都の要望を踏まえて、来年の通常国会に国家戦略特区法の改正案を提出する予定で、都内での規制緩和が実現するのは来年度以降になる見込みとあります。
建築基準法の採光規定は法第28条に昭和25年制定時よりありますが、当時の照明器具はフィラメントによる裸電球を前提とした規制だったと思われます。続く旧法第29条(住宅居室の日照)は、住宅は1以上の居室が受けられなければならないとしていましたが照明器具の進化(LED照明等)により平成10年に廃止されました。現行法は旧法第30条と法第30条の2が法第29条と法第30条に移動しています。平成10年改正は平成12年にかけて仕様規定から性能規定への建築基準法改正とも言われますが、採光規定の廃止は見送られ、平成12年の建築基準法施行令改正により、採光係数(最高で3倍)という手法で緩和されました。続いて近隣商業地域と商業地域の住宅に関してのみ、二室採光の規定外で、外部開口部がない居室でも二室分の開口部のある居室に一定の条件の壁で区画されていれば容認する緩和(平成15年告示第303号)が追加されたもののそれ以上は進んでいません。

採光規定の対象用途は、住宅、児童福祉施設等、保育所および幼保連携型認定保育園、病院・診療所、幼稚園から高等学校・大学専修学校等、寄宿舎、下宿などで、床面積の1/5から1/10の採光上有効な開口部比率を求められていますが、一部保育室や学校は昭和55年告示第1800号で一部200ルクス以上の照明器具等で比率緩和されています。照明器具の進化した現在、寝室を有する住宅や寄宿舎・下宿で自然採光が必要だと感じている人はどのくらいいるのでしょうか。会社員の場合、一日で一番長く居る事務所は未だ蛍光灯も有るものの、省エネのためにLED照明に更新されてきていて、性能も格段に進化していることもあり違和感は全くありません。平成22年の日経アーキテクチュアの8月9日号で紹介された札幌市役所LED照明のフリッカー現象による体調不良事件などは、現在は想像も出来ないほど性能が良くなっています。高校や大学あるいは診療所などでも自然採光の必要性はどこまであるのでしょうか。さらに児童福祉施設や保育所の保育室でも同様の疑問を感じます。因みに小生宅は電球をすべて排除し、照明の全てをLED化しましたが、昼と夜とでの異質感がほとんどありません。

来年東京都において、東京都全域の国家戦略特区において取りあえず隣り合う複数の部屋を一室とみなすことを認めることで、窓のない部屋も保育室として使えるようにするという緩和がなされると思われます。その後、保育所以外の用途についても採光規定そのものの有効性を議論することを期待しています。もちろんLED照明の居室用の規格規制なども必要かも知れませんが、自然光でなければならない合理性はそろそろ無くなってきているのではないかと思います。設計者として採光係数算定や、二室採光判定などをしながら空しいと感じてしまうのは小生だけなのでしょうか。皆さんの意見は如何でしょう。

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