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法規メルマガ6月号:小田圭吾法規委員長の法規コラムを掲載しました。

2017年06月15日

【東京建築士会・法規委員長・小田圭吾の辛くち法規チェック】
当会が配信しているメールマガジン「法規メルマガ6月号」(6/15配信分)の法規コラムを掲載いたします。

防火設備定期検査報告制度
平成26年建築基準法改正に伴い同法第12条第1項・第2項で防火設備の第3項・第4項の検査を除くと明記し、その部分を第3項・第4項の特定建築設備等に防火設備定期検査を創設する改正を実施ました。合わせて対象建築物を平成28年6月施行の同法施行令第16条と平成28年1月告示第240号で国の指定する建築物を明示し、従来の特定行政庁の指定する建築物とを分ける制度改正も実施しました。施行時期については建築基準法施行規則の附則第2条により平成28年6月より平成30年までの3年間の施行猶予期間を設けました。しかしながら、東京都と大阪府では平成29年度から事務所や大規模物販店舗が対象となり、その他の特定行政庁でも平成30年度から適用となるところが多いようです。

そもそもこの定期報告制度は特殊建築物定期調査報告と建築設備定期検査報告として昭和34年12月施行の第二次改正で導入され、平成46年1月施行の第五次改正で、調査・検査資格者が建築士に加えて建設大臣が定める資格を有する者として追加指定されました。その後、平成17年6月施行の改正で第2項・第4項に国、都道府県又は建築主事を置く市町村の建築物が追加され、また、台帳を特定行政庁が整備することとなりました。さらに平成20年4月施行で建築基準法施行規則改正により換気設備や機械排煙設備の風量計測検査を特定行政庁の指定する期間(三年がほとんど)で全数検査するなどの改正がなされました。平成28年6月施行の今回の改正は福岡の病院火災での死亡事故に対する対応で、消防法の消防用設備等点検報告だけでは安全対応が十分ではないとして改正されたものです。

縦割り行政による重複検査報告については従来からこれらの定期検査報告について議論されており、建築設備定期検査報告がビル管法による空気計測検査と同様の内容を含むとの指摘については検査結果記録を確認することで足りるなど緩和されていました。今回の防火設備定期検査に関しても、点検の方法などを定めた平成28年5月2日告示第723号において別表第一(防火扉)別表第二(防火シャッター)ともに自火報設備の感知器の「感知の状況」については「前回の検査以降に同等の方法で実施した検査の記録がある場合にあっては、当該記録で確認することで足りる。」と緩和されています。もちろん消防法に規定のない危害防止装置などは緩和の対象外です。

今年度に入り、東京都と大阪府で防火設備定期検査報告の見積が数多く提出され、年二回点検を実施している消防用設備等点検より高額な見積も散見されます。本来は特殊建築物定期調査報告で調査していたものを、常時閉鎖防火扉を除き随時閉鎖(常時開放)防火扉と防火シャッター等を分離しただけの防火設備定期検査報告が高くなるのには多少事情があります。消防用設備点検時に防火設備検査者が立ち会えば1人工程度で済むものを自力で再検査するという考え方が前提となっているためと思われます。

所有者や管理者にとって年二回点検しているにもかかわらず、加えて1回自火報の感知器連動点検をするメリットが無いにもかかわらずそれらを加算して2百万円を超える見積が提出されているといった実例が有ります。一つには告示第723号に記載が無いにもかかわらず(一財)日本建築防災防協会発行の業務基準に消防法令による検査記録は3ヶ月以内、自主検査記録は1ヶ月以内しか使えないと記載されていることが、重複検査の原因となっていると思われます。照会したところ大阪市では告示通りで1年以内のものなら構わないと回答が有り、東京都は業務基準で指導しているなど特定行政庁ごとに差異を生じているというのが実態ではないでしょうか。また、全数検査と記載されていることも一因と思われます。

国交省の定期調査・検査を行う資格者制度の見直しの説明会では消防用設備を含んで、随時閉鎖式防火扉で9分、防火シャッターで24分と作業量を想定しています。この想定作業時間では説明のつかない見積が多いのではないかと感じます。また、防火区画の防火シャッターについて消防用設備定期検査時以外は作動させないため、シャッター業者と点検契約をしていないものがほとんどです。これらについては点検の業務量が増加することとなります。シャッターの寿命は開閉1万回としているメーカーが多いため、管理用シャッターとして使用していない場合、建築物寿命を超える寿命となるからです。また、防火扉の危害防止装置点検は消防用設備点検に立ち会った検査者が感知器連動のレリーズを手動ではずして点検しても問題ないと考えられます。さらに、全数検査という規定はほとんど使用していない防火区画の防火シャッターなどは、機械排煙の排気口の検査と同様に三年に分割可能とするなどの緩和も必要な気がします。

防火設備定期検査報告を安くする方法は、消防用設備点検とシャッター点検に、検査者が防火設備部分だけ立会い、不足する部分を業務として実施する形式にすることが一番有利となると考えられます。なお、建築関連法規に精通した一級建築士による検査がより望ましいわけですから、是非一級建築士の方たちに活躍していただきたいと思います。これから秋にかけて建物管理会社等に交渉するとタイムリーな時期となるでしょう。

参考資料
>東京都 定期調査・検査報告制度(東京都都市整備局HP)
>大阪府 定期調報告制度について(大阪府HP)
>国交省 平成28年5月2日 告示第723号(茨城県HP/PDF)
>定期調査・検査を行う資格者制度の見直しの説明会資料(PDF)

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